矢部 茂太
大正3年5月25日生まれ
昭和44年11月(54歳)
井阪暁美創刊の「白圭」の主宰編集発行を受け継ぐ
平成2年(75歳)
芸術文化団体「半どんの会」文化功労賞を受賞
平成3年(76歳)
兵庫県教職員組合より社会文化賞を受賞
平成5年(78歳)
姫路歌人クラブ代表に就任
平成6年(79歳)
姫路地方文化団体連合協議会文化功労賞を受賞
平成7年(80歳)
第17回姫路市芸術文化賞を受賞
平成10年(84歳)
永眠
薫陶
―中学校教師時代の矢部先生―
私の中学1年と3年の国語の担任は、矢部先生であった。先生は時々、教科書を離れて、森鴎外の「高瀬舟」や、芥川龍之介の「杜子春」「トロッコ」などの小説を読んでくださった。先生は読みながら、時には声をつまらせ涙を流された。私は文学に興味を持つようになった。ある日の授業の時、皆な校庭に出て即興の短歌一首を詠んでみるようにと言われた。私は苦心の末、山々に大きな影を落として動く雲を詠んだことを覚えている。
授業とは別に先生は日記を奨励され、生徒の自由意志で提出された日記には、丹念に朱書きで先生の感想を書かれた。
―今日、私がおそまきながら短歌を作ることに興味を持ったり、今も読書が好きだったりするのは、あのあふれんばかりの情熱をもって国語の教育に当たられた矢部先生との出会いに始まったと思っています。
記 井口克之
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