受賞者プロフィール
姫路文化賞
井上久男
1931年生まれ。戦後いち早く播磨地方の文学活動において中心的役割を担い、多彩な人材を輩出した同人誌『姫路文学』が100号を目前にして、二十数年のものあいだ休刊していたのを、1995年に99号の発刊をもって見事に復活させた。以後、『姫路文学』は着実に号を重ね、質量ともにいよいよ充実している。自身も太宰治論を執筆中であり、その完成が待たれる。

 著書・作品 『夢前川の河童 詩人・遠地輝武の生涯』共著(神戸新聞総合出版センター)  「砂子屋書房主 山崎剛平伝」を雑誌『バンカル』に連載中。太宰治論「ぶんごう太宰治への旅」を『姫路文学』に連載中。

橘川真一
1931年生まれ。神戸新聞社会部記者として編集委員・丹波総局長などを歴任。1988年から姫路文学館の設立にたずさわり、1991年の開館時に副館長に就任、実務を統括するとともに、「文化施設は運動体である」という主張をかかげて地域の文化活動とも連携、播磨の文化の中核としての役割をになう施設に育てあげた。
 さらに退任後は、その持論と信念にもとづき、播磨学研究所の創設、各種文学研究会の設立、出版活動などを通じて、地域文化の向上に力を尽くした。
 播磨学研究所所長としては、風土記、赤松円心、姫路城、宮本武蔵などをテーマとした公開講座の開設や出版、古文書、地名研究など、播磨地域の総合的研究の振興につとめ、新しい播磨史の構築に道をひらいた。

 著書 『播磨文学紀行』、『ひょうごの城紀行』、『路傍の歴史再発見』、『作家たちの原風景〜播磨文学紀行2』、『はりま伝説散歩』、『兵庫の街道』、『兵庫の街道いまむかし』、『播磨の街道』、『神戸ワイン』、『別所一族の興亡』(いずれも神戸新聞総合出版センター)など。

森ア秋雄
1946年生まれ。姫路で三十余年にわたり森画廊を経営、「画廊というより小さな美術館」たるべく、絵にたいする深い思い入れをもって、企画展を開催、絵と人との出会いの空間をつくってきた。
2007年、俳誌『田鶴』に連載したエッセーをまとめ、『美の鼓動』(三月書房)を上梓。
「美術品を商うということは、自分の人格を商うということと同義語かもしれない」「売らんがための陳腐で物欲しそうな絵ではなく、作家がぎりぎりまで内面を苦しめて生み出した本物の絵だけを紹介したい」


文化功労賞
   よしひさ
寺本躬久
1919年生まれ。戦地から復員後、姫路におこった詩運動イオム同盟に、筆名生田均として加盟、即物的形象法というリアリズム手法を用い、きわめて個性的な作者として注目された。
 しかしまもなく病床の身となり、古代史や民俗学の本を読んで学識を深めた。退院後、姫路で創刊された『駟路(しろ)』に「石の座標」を連載。
 その後、『「播磨風土記」その光と陰を追って』(みるめ書房)、『「火と石と」飛鳥・播磨にその軌跡を探る』(摩耶出版社)を発刊、賞賛をもってむかえられた。
 また上郡町で「地域文化」を主宰、西播地方の研究者に論文発表の場を提供するとともに、みずからも詩作に励んでいる。

その他の著書 『播磨地名伝承の探索』(神戸新聞総合出版センター)、『天之日矛の民俗』(ジュンク堂書店)など。 ほかに共同執筆数冊。


堀千壽子
1918年生まれ。それから今日まで龍野に在住。ふるさとの自然や風土、めぐまれた家族のことを短歌に詠みつづけ、瑞々しく清澄な作品を発表、所属する文学圏社で活躍。
1980年に第一歌集『枇杷の花』、1999年に第二歌集『樟の大樹』、そして2007年に第三歌集『川沿いの道』を上梓。生来の温かい人柄と人生経験のもとづいた、滋味深く、若々しい世界が評価される。
 地域における歌会や歌誌『文学圏』に模範となる作品を示すことによって多くの後進を育成、文化振興に貢献した。


黒川録朗賞
小西達也
1962年生まれ。先天性骨形成不全症のため骨折をくり返し、幼少より車椅子で生活。養護学校でフォークギターを練習し、歌をうたいはじめる。大学卒業後、コンピュータ会社を経て、1990年にイベント企画「ゆめぷらん」設立。以来、シンガーソングライターとして全国を旅し、コンサートや講演会を2500回以上おこなった。現在、年間100本以上のステージをこなしている。
CD 『生命の詩(いのちのうた)』、『心の響き』、『小曲集T』など。

フォトストリート
1977年、写真同人雑誌『フォトストリート』を同人4人で発刊。
1978年より毎年8月に写真展を姫路市内で、フォトストリート・スーパーセッションとして開く。同年9月、東京での「フォトストリート・イン・トウキョー」展がはじまり、その後5回の東京展をおこなう。大阪、静岡でも展覧会をひらいた。メンバーの個展も高い評価を受けた。2007年、30周年記念展「フォトストリート写真展スーパーセッション2007」を兵庫県立美術館で開催。